麻生、玉砕解散へ…「敵前逃亡」「ボロ隠し」非難覚悟

麻生太郎内閣は28日、発足5日目に中山成彬国交相が舌禍連発で辞職したうえ、閣僚らの問題献金が続出するなど悲惨なスタートとなっている。麻生首相は29日の所信表明演説で反転攻勢を図り、景気対策のための補正予算成立後の解散を模索するが、先行きは厳しい。公明党が「予算審議をすれば野党に追い込まれる」と態度を硬化、与党内では代表質問終了日の10月3日に解散する地ならしが始まった。麻生首相がボロ隠しの「玉砕解散」に追い込まれようとしている。

 「総選挙直前の内閣とは思えない緊張感の欠如だ。これ以上、閣僚の問題が噴出するようなら選挙どころではない。完全な白旗だ」

 自民党関係者が憤る。確かに、24日の発足から1週間以内の内閣としては異常というしかない。

 当初、政府与党は29日に麻生首相の所信表明演説を行い、10月1〜3日に衆参両院で代表質問を実施。米国発の金融不安や景気後退に対応するための緊急経済対策実施に向け、6日から補正予算案審議に入り、10日までに成立を目指す予定だった。

 だが、中山氏が「日教組をぶっ壊す」「成田闘争はゴネ得」「日本は単一民族」といった舌禍3連発で辞職したことなどから、「選挙の顔」として選ばれた麻生首相の戦略に狂いが生じた。公明党が了承していた補正予算審議に難色を示し始めたのだ。

 歴史を振り返ると、閣僚の辞任や舌禍は内閣支持率を押し下げ、自民党を直後の選挙で惨敗させている。

 「美しい国づくり」を掲げ、60%以上の高支持率で一昨年9月に発足した安倍晋三内閣は、事務所費問題で閣僚複数が辞任、松岡利勝農水相が自殺した直後に40%を割った。久間章生元防衛相の「原爆投下しようがない」発言など舌禍も続出し、“バンソコウ大臣”赤城徳彦元農水相の事務所費問題もあり、昨年7月の参院選で大惨敗を喫した。

 1988年に発足した竹下登改造内閣も、97年の第2次橋本龍太郎改造内閣も、閣僚がスキャンダルで辞任した後に支持率が下落し、ともに直後の参院選で惨敗した。

 麻生内閣の“問題閣僚”は中山氏だけではない。

 警察庁を所管する佐藤勉国家公安委員長は就任会見で、「私も今、選挙運動ということで農家などを訪れる」と語り、公職選挙法で禁じられた「事前運動」をしていたことを“自白”し、訂正した。

 「内閣の要」である河村建夫官房長官が代表を務める政党支部が、談合摘発企業から計410万円の寄付を受けていた。景気回復を託された中川昭一財務相兼金融担当相の資金管理団体も、指名停止処分を受けた会社社長から計100万円の献金を、戦後最年少で初入閣した小渕優子少子化担当相が代表を務める自民党支部も指名停止処分を受けた会社から計720万円の献金を受けていた。

 加えて、永田町では先週末、「麻生内閣の重要閣僚に利権絡みのスキャンダルがあるようだ。これが報道されれば、衝撃は中山氏の比ではない」(官邸筋)との情報が広がり、関係者が確認に追われた。

 こうした動きを公明党は把握しているとみられ、「このまま補正予算審議に入れば傷がさらに広がる。内閣支持率が急落しかねない」(幹部)と態度を硬化。所属国会議員に対し、10月3日午後は国会周辺での待機を命じる「禁足令」を発した。3日に衆院を解散し、総選挙を「10月21日公示、11月2日投開票」で行うことを自民党選対幹部と調整している。

 自民党の古賀誠選対委員長は28日、北海道で講演し、「麻生首相には恐らく腹をくくった日程がある。ぶれずに実現する姿勢で、最初に決めた日程で解散・総選挙は進められるだろう」と述べ、党内一部にある解散先送り論を牽制(けんせい)した。

 これに対し、麻生首相は現段階でも、補正予算成立の可能性を模索しているという。10月3日解散なら、「敵前逃亡」「ボロ隠し」といった批判は避けられないうえ、自民党総裁選以前から主張していた景気対策の重要性を事実上放棄することになるからだ。

 民主党はこうした与党内の“お家事情”は百も承知で、鳩山由紀夫幹事長は28日のテレビ番組で「(補正予算審議を)引き延ばすつもりはない」と語るなど、予算審議回避の「理由」を与えない作戦を続ける。

 麻生首相は「下野」を連想させる不吉極まるデジャヴ(既視感)を前に、どう対応するのか。

 政治評論家の小林吉弥氏は「自民党はもはや落城寸前だ。中山氏の信じがたい舌禍や、34歳女性の小渕氏にまで『政治とカネ』の問題が出てきたことで、有権者は『自民党の腐敗は根が深い』と痛感したはず。麻生首相が身体検査をしなかったとすれば、危機管理の面からトップ失格といえる。補正予算委をすれば総攻撃を食らうし、審議前に解散すれば『逃げた』といわれる。麻生首相に反転攻勢の材料はない。このまま灼熱地獄の総選挙に突入するだろう。政権交代は必至だ」と話している。

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